「老人と宇宙」(J.スコルジー)を読了。Kindle版。
2021年初の未読本。この人の本は「アンドロイドと夢の羊」を読んだことがあるけれど、有名な老人と宇宙シリーズは手付かずだった。手頃な翻訳SFの新刊がなかったので手を出してみることに。
軽めのエンターテイメントSFで読みやすく面白かった。元々ゴリゴリにハードなSFが好きだけど、歳のせいかこういう軽い作品も最近は好みになっている。
三体IIを読んでからは、宇宙モノのSFで他の知的存在とのコンタクトがある作品については、「これは黒暗森林宇宙かどうか」を気にしてしまう。本作は超光速航法(スキップドライブ)が許容されているという相違はあるけれど、黒暗森林。一方でイーガンのディアスポラなんかは非黒暗森林ということになるかな。
老人限定で入隊できるコロニー防衛軍という設定が良かったと思う。それにしても75歳以上の人々の描写がちょっと若々しすぎるのが気になったかな。別に「わしは〜じゃよ」とかステレオタイプな老人言葉を使わせる必要はないと思うけれど、もう少し「老人ぽさ」があっても良いような気がした。
「まるっきりちがう。重力場を生成するには莫大なエネルギーが必要で、出力すべきエネルギー量は、重力場の半径の増加に合わせて指数関数的に増大する。おそらく、ひとつの大きな重力場ではなく、複数の小さな重力場を生成してごまかしているんだろう。それにしたって、このプラットフォームの重力場を生成するためのエネルギーは、きみの故郷の町を一カ月照らすためのエネルギーより大きいはずだ」
ジョン スコルジー. 老人と宇宙 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.565-569). Kindle 版.
こういうところを突っ込むのは無粋だとは思うけれど、ちょっと引っかかる。この場合、「重力場をXX分間発生させるためのエネルギーは...」、としないと適切な比較にならない。