Harmless Weblog

J.スコルジー

SF本読了 終わりなき戦火

「終わりなき戦火 老人と宇宙6」(J.スコルジー)を読了。Kindle版。

2021年現在で一応シリーズ最終巻ということになっている。というのは、なんか訳者あとがきによると、さらに続編が計画されているらしいので。

とはいえ、ジョン・ペリーとハリー・ウィルスンの物語としてはこれで完結かな。戦いの虚空で明かされなかった謎も解決されたわけだけど、びっくり仰天の驚き展開、というほどではなかったかも。物語としてはいいと思うんだけど、あれだけ活躍したペリー一家が、今回の危機では活動を仄めかされることすらない、というのはちょっと違和感があったかな。サービスでオイボレ団同窓会的なシーンがあっても良かったかも。

久しぶりに長いシリーズものに浸れて良かった。

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読書   2021/05/28   gena

SF本読了 戦いの虚空

「戦いの虚空 老人と宇宙5」(J.スコルジー)を読了。Kindle版。

ジョン・ペリー(一家)の活躍する3部作+1の続編であり、「オイボレ団」のメンバーであるハリー・ウィルスンが活躍するスピンオフ的な2部作の前半。

面白かったけれど、本筋の謎がほとんど明かされないので、最終巻の6でどこまでスッキリ解消するのか楽しみ。

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読書   2021/04/30   gena

SF本読了 ゾーイの物語

「ゾーイの物語 老人と宇宙4」(J.スコルジー)を読了。Kindle版。

これまでの3部作があってこそだとは思うけれど、大変良かった。今年の暫定ベスト。

この作品世界って、ブレインパルのような高度なAIがあって、テクノロジーも相当なものなんだけど、白兵戦でCDFの兵士をバンバン使い捨てにするというのがちょっと違和感。儀式的な決闘(?)は別として、通常の戦闘はギュゲス的な動甲冑を使うとか、いっそのことロボットや戦闘ドローンを大量投入すれば良いだけでは、と思ってしまう。

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読書   2021/04/29   gena

SF本読了 最後の星戦

「最後の星戦 老人と宇宙3」(J.スコルジー)を読了。Kindle版。

面白かった。シリーズとしてはまだ続きがあるけれど、ひとまずこの3部作で一区切りかな。

1作目からは想像もつかない展開を経て、大団円。ぜんぜんハードSFではないシリーズだけど、自分の嗜好が気負わずに読めるこういう作品が楽しめるように変わってきた気がする。

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読書   2021/03/20   gena

SF本読了 遠すぎた星

「遠すぎた星 老人と宇宙2」(J.スコルジー)を読了。Kindle版。

1作目の老人と宇宙の背景設定がよく出来ていたので、これはハズしようがないという面白さ。邦題は素直に「ゴースト部隊」にした方が良かったのでは。

黒暗森林宇宙とはちょっと違うのかな、というのが仄めかされてくるわけだけど、3作目が楽しみ。

それにしても本作1部で人類のこれでもかというクソっぷりが描かれるんだけど、こういうパターンは斬新に感じた。物語として、敵方の極悪非道ぶりを強調した上で、それをやっつけることでスカっとする、というのはよくあるけれど、主人公サイドをここまで酷く描くのはすごいなと思って。

方針を変えて、もっとべつの創造物を描いた物語をさがしてみたところ、すぐにいろいろなのが見つかった。フライデー、R・ダニール・オリヴォー、データ、HAL、ロボットのマリア、アトム、各種ターミネーター、チャンナ・フォーチューナ、ロボット野郎ジョーといった、多種多様なアンドロイド、ロボット、コンピュータ、レプリカント、クローン、そして遺伝子操作で生みだされたあれこれ。
ジョン スコルジー. 遠すぎた星 老人と宇宙2 (ハヤカワ文庫SF) . 株式会社 早川書房. Kindle 版.

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読書   2021/02/28   gena

SF本読了 老人と宇宙

「老人と宇宙」(J.スコルジー)を読了。Kindle版。

2021年初の未読本。この人の本は「アンドロイドと夢の羊」を読んだことがあるけれど、有名な老人と宇宙シリーズは手付かずだった。手頃な翻訳SFの新刊がなかったので手を出してみることに。

軽めのエンターテイメントSFで読みやすく面白かった。元々ゴリゴリにハードなSFが好きだけど、歳のせいかこういう軽い作品も最近は好みになっている。

三体IIを読んでからは、宇宙モノのSFで他の知的存在とのコンタクトがある作品については、「これは黒暗森林宇宙かどうか」を気にしてしまう。本作は超光速航法(スキップドライブ)が許容されているという相違はあるけれど、黒暗森林。一方でイーガンのディアスポラなんかは非黒暗森林ということになるかな。

老人限定で入隊できるコロニー防衛軍という設定が良かったと思う。それにしても75歳以上の人々の描写がちょっと若々しすぎるのが気になったかな。別に「わしは〜じゃよ」とかステレオタイプな老人言葉を使わせる必要はないと思うけれど、もう少し「老人ぽさ」があっても良いような気がした。

「まるっきりちがう。重力場を生成するには莫大なエネルギーが必要で、出力すべきエネルギー量は、重力場の半径の増加に合わせて指数関数的に増大する。おそらく、ひとつの大きな重力場ではなく、複数の小さな重力場を生成してごまかしているんだろう。それにしたって、このプラットフォームの重力場を生成するためのエネルギーは、きみの故郷の町を一カ月照らすためのエネルギーより大きいはずだ」
ジョン スコルジー. 老人と宇宙 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.565-569). Kindle 版.

こういうところを突っ込むのは無粋だとは思うけれど、ちょっと引っかかる。この場合、「重力場をXX分間発生させるためのエネルギーは...」、としないと適切な比較にならない。

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読書   2021/02/14   gena