SF本読了 ウは宇宙ヤバイのウ!
「ウは宇宙ヤバイのウ![新版]」(宮澤伊織)を読了。Kindle版。
元は2013年に他出版社から出たラノベだそうで、ハヤカワで復刊を機に電書化、続編も出たという経緯とのこと。
面白かった。しばらく前から書いていることだけど、若い頃は「ラノベなんて」という気持ちがあって、ハードSFばかり探して読んでいたものだけど、不思議なもので歳と共に小説でもアニメでもライトなものが楽しめるようになってきた。
「ウは宇宙ヤバイのウ![新版]」(宮澤伊織)を読了。Kindle版。
元は2013年に他出版社から出たラノベだそうで、ハヤカワで復刊を機に電書化、続編も出たという経緯とのこと。
面白かった。しばらく前から書いていることだけど、若い頃は「ラノベなんて」という気持ちがあって、ハードSFばかり探して読んでいたものだけど、不思議なもので歳と共に小説でもアニメでもライトなものが楽しめるようになってきた。
「時間移民」(劉慈欣)を読了。Kindle版。
円、流浪地球、老神介護に続く(日本での)第3短編集。古き良きSFショートショート的なお話があるかと思えば、ガッツリ惨たらしい描写の戦争モノがあったりと、いろいろ楽しめた。
好みとしては思索者、朝に道を聞かば、共存できない二つの祝日、天使時代、鏡、あたりかな。フィールズ・オブ・ゴールドは一番新しい作品とのことだけど、確かに良かった。
【収録作品】
「反転領域」(A.レナルズ)を読了。Kindle版。
久しぶりのレナルズの長編で大変楽しめた。Kindleで読書するようになってそんな機会もなくなったけれど、あの非常識に分厚い文庫本が懐かしい。啓示空間シリーズも再読したいけれど、電書化されていないみたい。やはりあの物理的な分厚さが作品として重要なんだろうか。
ラストで主人公が知り得ないことは読者にも明かされない、というのも良かった。探検隊の結末がどうなったのか、神の視点で描かれれば読者はスッキリしただろうけれど、逆に主人公はそれを知る術がないことでモヤモヤしそう。
「ヴィクトリア朝時代のインターネット」(T.スタンデージ)を読了。Kindle版。
自分がアマチュア無線でモールス通信を楽しんでいるからだと思うんだけど、大変面白かった。
電灯が発明される前、電気の理論的なこともよくわかっていない時代。情報を送るためには、鉄道(蒸気機関車)や船、馬、伝書鳩を使うしかなかった。少しでも早く情報を送るために、まずは視覚的なテレグラフ(高いところに板を設置して、望遠鏡で見る)による通信網が整備されて、その後ついに電池と電線を使った有線電信が発明され、それが普及することで世の中を変えて、さらに発展して新しい技術にとって代わられて衰退するまでの流れがよくわかった。
そして電灯の発明で有名なエジソンが電信オペレータの名手だったとか、2番目の妻にモールスでプロポーズしたエピソードも。
電信からインターネットまでの技術年表も大変面白い。マルコーニにより無線が発見されるのはベルにより電話が発明され(1872)て、有線電信が衰退した1892年のこと。有名なタイタニック号の遭難通信が1912年。電気(電灯)よりも先に電信が普及していたというのは知らなかったので勉強になった。
「AIとSF 2」(日本SF作家クラブ編)を読了。Kindle版。
懲りずにまたアンソロジーに手を出してしまった。けれど、これはなかなか読み応えもあり面白い作品が多かったかな。
X-7329と魔の王が見るについてはちょっと好みではなかったというか正直意味が汲み取れなかったかな(生成AIに書かせた小説?)。残りはけっこう好きかも。
このテーマも数年で陳腐化しそうというか、現実の生成AIが急速に進歩することで、問題の捉え方とか社会のありようが変わってしまって、ズレた議論になってしまいそうな予感がする。
【収録作品】
「宇宙探偵ノーグレイ」(田中啓文)を読了。Kindle版。
警視庁地下割烹からの流れで。本書も面白かった。舞台はSF、ストーリーは特殊設定ミステリィ、なんだけどトータルではやっぱり田中啓文だな、という感じ。
連作短編なんだけど、共通する大きな謎があって、その種明かしについてはやや拍子抜け感があったかも。
「警視庁地下割烹 取調室のカツ丼」(田中啓文)を読了。Kindle版。
シリーズ二作目。面白かったし、荒唐無稽さ加減がアニメのような雰囲気で良い。実際にアニメにするには主人公がおっさんなのと、探偵っぽい推理シーンはほとんど出てこないので見せ場が難しいか。
「警視庁地下割烹」(田中啓文)を読了。Kindle版。
田中氏の本はたまに読みたくなる。ただホラーやグロいのは苦手。本書は警視庁の地下にある割烹課というすごい設定で楽しい。
「ドジ坊」だからしょうがないんだけど、主人公の空気読めなさ加減がすごくて、作品としては面白いけれど、キャラとして好きにはなれないタイプかも。
「ツインスター・ サイクロン・ランナウェイ4」(小川一水)を読了。Kindle版。
天冥シリーズ後の小川氏の新しいシリーズも完結。天冥シリーズと比べるとハードさはあまりなくて、軽め(イラストの割にはヘヴィだと思ったけれど)。
個人的には「粘土」とはなんなのか、というあたりにもう少しハードSF的な設定を与えて欲しかったかな。作中だと超光速航法すら可能な異性生命、という説明だけど、結局何でも可能な便利な魔法アイテム(の暴走でいろいろトラブルが起きる)みたいに感じた。
作品のテーマはあくまでも違うところにあるということなんだろうけれど、同性パートナーの件にしても、最終的に目指すところは結局「孕ませる」ことなんだ、というのはちょっと気になったかな。
「応信せよ尊勝寺」(八島游舷)を読了。Kindle版。
面白かったし、やはりこの世界観は好み。長編というにはちょっと短かかったのでは(Kindle版は厚みがわかりづらい)。
発売からしばらく経つけれど、タイトルが「天駆せよ法勝寺[長編版]」だと、短編と同じ内容でディテールを膨らませて長編化した作品なのかと思ってなかなか手が出なかった(実際そういう作品もあるし)。
本作は法勝寺の前日譚である別ストーリーであると、もう少しわかるようなタイトルなり装丁にして頂ければありがたかったかな。
いずれにせよ魅力的な世界観なので、(書くのはものすごく大変とのことだけど)法勝寺シリーズの継続を期待したい。合掌。
天駆せよ法勝寺[長編版]序章 応信せよ尊勝寺-Genesis SOGEN Japanese SF anthology 2022- 創元日本SFアンソロジー2022 Kindle版