Harmless Weblog

ノンフィクション

ノンフィクション読了 ヴィクトリア朝時代のインターネット

「ヴィクトリア朝時代のインターネット」(T.スタンデージ)を読了。Kindle版。

自分がアマチュア無線でモールス通信を楽しんでいるからだと思うんだけど、大変面白かった。

電灯が発明される前、電気の理論的なこともよくわかっていない時代。情報を送るためには、鉄道(蒸気機関車)や船、馬、伝書鳩を使うしかなかった。少しでも早く情報を送るために、まずは視覚的なテレグラフ(高いところに板を設置して、望遠鏡で見る)による通信網が整備されて、その後ついに電池と電線を使った有線電信が発明され、それが普及することで世の中を変えて、さらに発展して新しい技術にとって代わられて衰退するまでの流れがよくわかった。

そして電灯の発明で有名なエジソンが電信オペレータの名手だったとか、2番目の妻にモールスでプロポーズしたエピソードも。

電信からインターネットまでの技術年表も大変面白い。マルコーニにより無線が発見されるのはベルにより電話が発明され(1872)て、有線電信が衰退した1892年のこと。有名なタイタニック号の遭難通信が1912年。電気(電灯)よりも先に電信が普及していたというのは知らなかったので勉強になった。

ヴィクトリア朝時代のインターネット (ハヤカワ文庫NF) Kindle版

≫ 続きを読む

読書   2025/09/04   gena

ノンフィクション読了 フェルマーの最終定理

「フェルマーの最終定理」(S.シン)を読了。Kindle版。

暗号解読を読んだ流れでこちらも読んでみたけれど、面白かった。

過去から現代までの数学をめぐる物語がまず面白いし、ワイルズによる証明も突然現れた天才が思いつきで証明を完成させた、というような単純な話ではなく、谷山・志村予想をはじめとするフェルマー以後の数学者の積み上げた理論や定理を駆使したもので、実はフェルマーは本当の証明を持ってはいなかったのではないか、というような話。

フェルマーの最終定理(新潮文庫) Kindle版

≫ 続きを読む

読書   2025/05/17   gena

ノンフィクション読了 暗号解読

「暗号解読(上下)合本版」(S.シン)を読了。Kindle版。

久々のノンフィクション。面白かった。ちょうどアマプラで映画「イミテーション・ゲーム」を観たあとだったので、エニグマとチューリングのところはイメージが湧いたし、日替わり通信術練習のアプリで欧文暗文(暗号)を生成したりもしていたので、興味深かった。

さらに電信(モールス信号)と暗号って切っても切れない関係で、CW'erとしては「あるある」なオペレータのクセも重要な情報だったとわかったのも面白かった。

無線通信から情報を得るための補助的なテクニックも開発している。そうした補助的テクニック自体は、暗号解読とは関係がない。たとえばフランスの秘密情報収集所では、敵の無線オペレーターの癖までも聞き分けられるようになっていた。暗号化されたメッセージは、モールス信号の形で(つまり点と線の並びとして)送信されるが、オペレーターごとに、間のあけ方、送信速度、点と線の相対的な長さが異なるため、一人一人のオペレーターを識別できたのである。

今のところ日替わり通信術練習アプリの欧文暗文は単なるランダムな文字の羅列なんだけど、本当に暗号にしてみたら面白いかも、なんて思った。

暗号解読(上下)合本版(新潮文庫) Kindle版

≫ 続きを読む

読書   2025/02/08   gena