Harmless Weblog

2021年9月

アマチュア無線(XPOコンテスト, 愛・地球博記念コンテスト2021)

今年もクラブ局で参加。COVID-19感染拡大防止のため、CWのみ最小限の人数で。

CWができるメンバーの間で、「トップクラスの局はコンスタントに50QSO/hrのペースで交信し続ける」、つまり24時間のコンテストで50 x 24 = 1200局という会話をしていて、個人的に今回は50QSO/hrのレートを1時間以上続けることを目標にした。

このペースを出そうとすると呼び回りでは無理で、CQを出すことが必須。それもハイバンドではなく局数の多い7MHzでないと難しいと思う。

XPOコンテストでは朝9:30から10:30まで7MHz、10:30から11:00まで14MHzを担当。バンド内をざっと呼び回って、CQを出し始めるまでは12QSO/30分 = 24QSO/hr程度。CQを出し始めるとペースが上がって、22〜23QSO/30分 = 44〜46QSO/hrくらい。50QSO/hrまでもう少し。Condxが良ければいけたかも。14MHzにQSYするとやはりペースが落ちて、20QSO/hrくらい。

リグはFT-897(100W)で300Hzのメカフィル使用。アンテナはロータリーダイポールかな。このときはメモリーキーヤ+CQ Oneパドルで、呼ばれた時に相手のコールサインを手打ちしなくてはならず、打鍵ミスでかなりのロスが出た。打鍵ミスは単純に練習不足で言い訳もできないけれど、手打ちだと疲れもあるし、交信速度を稼ぐためには符号の速さは維持したいし、難しいところ。

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愛・地球博記念コンテストは2日目の7:40頃から12時の終了まで、休憩をしつつ7MHzを私一人で担当。リグとアンテナは同じで、レートを上げるためにPCキーイング(CTESTWIN + SCU-17)にさせてもらった。これだと打鍵ミスの心配をしなくて良いので精神的にも楽で、長時間運用でもそれほど疲れない。

7MHzでCQを出し始めた直後から次々と呼ばれて、ピークは60QSO/hrくらいまでレートを上げることができた。12時までの平均でも50QSO/hrは達成できたかな。思っていたより長時間ペースを維持できたのはやはりPCキーイングによるところが大きいと思う。

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終わってみれば7MHzだけで215局、44マルチと個人的には1日の最高交信数を達成。頭はそれほど疲れなかったけれど、生理的欲求でどうしても休憩は必要だし、24時間のコンテストで50QSO/hrを維持し続けるというのは少なくともシングルオペでは難しいだろうなぁ。マルチオペで交代しながら複数バンドをCondxに応じて最適に運用すればなんとか、という感じだろうか。いくらCQを出し続けても相手がいなくてはどうしようもないし。

200局以上交信していると、呼んでくる局のスキルとかもけっこうわかるようになってくる。最高で3〜4局のパイルになったと思うけれど、ぴたりゼロインして呼ばれると、符号が完全に重なって全く分離できなくなる。なんとか1文字でも拾って絞り込みたいんだけど、複数の局が同じ文字を含んだコールサインだったりするとどうしようもない。AGNを連発して呼んでる方が察して控えてくれるのを待つしかなかったり。あと、一瞬でも先に呼び始めた方を取りたいのに、結局識別できるのは長いコール(/x)とか遅い符号の局のラストレターだったり。

CQを出しているのは混信のない中途半端な周波数なので、正確にゼロインしてくる方はおそらくリグのオートゼロイン機能を使っておられるのだと思う。こういうときに、フィルタで切れない範囲で周波数をズラして呼んでもらえると、こちらもピックアップしやすいし、そうやって一発コールでサクっと抜けていく局はベテランかなと思う。オートゼロインの機能は便利だと思うけれど、機械的に正確に合わせてしまうとこういう弊害がある。設備は良いハズなのに、なぜかパイルで呼び負けると感じる局は、オートゼロインに頼らず耳で合わせるか、オートゼロインの周波数からわざと少しズラして呼んでみると、ピックアップしてもらいやすくなるかも。

【参考リンク】

2020年のXPO,AI TESTの様子

過去のXPO記念コンテストの様子:2019年2018年2017年2016年2015年2014年2013年2012年

過去の愛・地球博記念コンテストの様子:2019年,2018年(不参加),2017年2016年2015年2014年2013年2012年

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アマチュア無線   2021/09/25   gena
タグ:CW , コンテスト

SF本再読 天冥の標II

「天冥の標II 救世群」(小川一水)を再読了。Kindle合本版。

文庫の初版は2010年だけど、COVID-19のパンデミックで再注目されたようで、普段SFを読まない人たちにも読まれたのでは、という印象。

初読は2010年5月で、以来一度も読み返していなかったのでかなり忘れていた。確かにCOVID-19以降だとだいぶ受け取る側の意識が変わっているかも。過去にエボラ出血熱とかの本は読んで怖いなぁ、とは思ったけれど所詮は対岸の火事だった。それが新型コロナのパンデミックが起きて、「冥王斑について、この点は新型コロナと似てる、ここは違う、もし新型コロナがこんな風に変異したらヤバいな」とか、より具体的に想像しながら読んでいることに気づいた。

あとはやっぱりヘヴィで救いがなく、読んでいて辛くなる。この先まだまだ厳しいことが起こるんだよなぁ。

翌朝九時、東京発博多行き新幹線のぞみ号の禁煙指定席で、アイスコーヒーの缶を片手にぐったりしている青年の姿があった。
小川 一水. 《天冥の標》合本版 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.11187-11188). Kindle 版.

わざわざ「禁煙」指定席と書かなくてはいけない時代のお話だったわけだ。「医師」が「屋内の」喫煙所でスパスパタバコを吸っていた時代もそれほど昔のことではないということ。この点だけはこの10年で本当に良くなったと思う。

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読書   2021/09/23   gena
タグ:Kindle , SF , 小川一水

Webアプリ日替わり通信術アップデート

2021年4月に公開した日替わり通信術のWebアプリ。特にアクセス解析などはしておらず問合せやレスポンスもあまりないのでどの程度使っていただいているかはわからない。この9月期の一総通の試験で「アプリを使って練習して合格しました」という報告をお待ちしています。

初期の頃から使っていただいているローカルさんから、(書き取りの)途中で電話などがかかってきたとき、一時停止機能があると助かる、というご要望を頂いていた。確かに一度始めてしまうと標準速度で5分間は手が離せないし、忙しいお仕事の方だと一時停止機能は欲しいかもしれない。

Web Audio APIで提供されているSuspend/Resume機能で一時停止自体は実装できると思うんだけど、全文を流して終了したときの判定をsetTimeout関数で行っていて、考えなしにSuspendさせると、終了時間がズレてしまう。

setTimeoutのタイマーを一時停止と同時に破棄して、再開と同時に新しいsetTimeoutで終了までのタイマーをセットする。と、考え方は簡単なんだけど、作り始めてみるとなかなかうまく動かない。まあプログラムなんてそんなもの。特にこのWebアプリは開発初期からのつぎはぎだらけのコードで、リファクタリングしようしようと思いつつ、「動いているからまあいいか」とそのままになっているもので、こっちを直すと別のところが変になる、という感じ。

これは重い腰を上げてリファクタリングするか、ということで、jscwlibというそのものズバリ、モールス符号を鳴らす便利なライブラリを使って丸ごと作り直すことを検討。このライブラリは日替わり通信術の開発を始めた後でTwitterで教えてもらったもので、和文にも対応しているし非常に便利。カナの本文さえ用意すれば、play関数に放り込むだけで再生してくれるし、もちろん一時停止とか、周波数などの設定もグラフィカルにできるし、音源のダウンロードまで可能。

ただ、自分の本文生成のスクリプトはこのライブラリを前提として作っていなかったので、こちらにも手を入れる必要があって、それなりに大変そう。そして、jscwlibのソースを眺めていたら、一時停止のコードもあって、自分のoscillatorの実装もそんなに違わなかったので、これを真似してなんとか元のコードの改良で動作するようになった。

ということで一時停止機能はなんとかリリースできた。あと需要がありそうなのはシークバーとか音源ダウンロードあたりだろうか。シークバーは一時停止の機能の応用で頑張ればできるかもしれない。音源ダウンロードはjscwlibでできているので技術的には可能だと思うんだけど、どうやったらいいか見当もつかない状況。

機能アップもリファクタリングも気になってはいるけれど、本質的には開発当初の思想、つまり「アプリを開いたら即一総通の受信練習ができる」は維持していきたい。

【リンク】Webアプリ 日替わり通信術

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アマチュア無線   2021/09/19   gena

ロードスターNC1その後(トランクリッドステーダンパー交換)

トランクを支えるダンパーがサビサビになっている。ロードスターのトランクのフタはアルミで軽いし、全開で保持はできているので実用上支障はないんだけど、モノタロウの1000円引きクーポンが来た機会に純正品を購入。型番はNF80-56-930B。RHT用とかリアスポイラーの有無で細かく分かれているみたいなんだけど、在庫ありはこのタイプしかなかった。

交換は簡単。ポロやプジョー2008もリアハッチのダンパーを交換したけれど、ダンパーを外すとハッチが落ちてくるので二人作業が必要だった。ロードスターはトランク全開で作業すれば良いので1分くらいで終わる。

交換後は解錠して少し持ち上げればあとは全開まで自動で持ち上がるようになった。まあ実用性よりは見た目サビサビなのが気になっていたのでキレイになって良かった。

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  2021/09/11   gena

SF本読了 アメリカン・ブッダ

「アメリカン・ブッダ」(柴田勝家)を読了。Kindle版。

この方の本は初読。元々好物の仏教SFの表題作と、民俗学と絡めた他の作品も大変面白かった。硬軟のバランスがちょうど良い感じで、軽すぎず重すぎずちょうど良い気持ちよさ。

【収録作品】

  • 雲南省スー族におけるVR技術の使用例
  • 鏡石異譚
  • 邪義の壁
  • 一八九七年:龍動幕の内
  • 検疫官
  • アメリカン・ブッダ

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読書   2021/09/10   gena
タグ:Kindle , SF , 柴田勝家

SF本再読 天冥の標I

「天冥の標<1> メニー・メニー・シープ(上下)」(小川一水)を再読了。Kindle合本版。

天冥は文庫本でVIまで買って、その後Kindle版でIXまで買っていた。完結のXをどうしようか、また最初の方の話を忘れているので再読もしたいし…と思っていたら、ちょうどKindle本の半額セールで合本版が安くなっていたので購入。今までに買った単品のKindle版が無駄になってしまうけれど、文庫本を1巻ずつKindleで買い直すよりはお得だったので。

いよいよ全巻通して完結まで一気に読めると思うと感慨深い。1巻の初読は2010年2015年に8巻と同時くらいに一度再読している。

天冥シリーズは真面目なハードSFなんだけど、一方でエロも大きなテーマのひとつなので、そこがオールタイムベストになるかどうかの分かれ目かも。

あと改めて1巻を読み返してみて、やっぱり植民地の電力事情は気になった。特に「配電制限」というオペレーション。検索してみるとわかるけれど、こういう形の電力の供給制限というのは実際はできない。現在の技術でできるのは時間やエリアで「停電」させる輪番停電とか計画停電というオペレーション。

――それもこれも、配電制限のせいだった。いまやどの家庭も、夜間に電灯を一つか二つ灯すのが精一杯で、暖房器具など使うべくもなかったのだ。
小川 一水. 《天冥の標》合本版 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.6902-6903). Kindle 版.

単純に供給力上限を絞った場合は、負荷が一定以上になった時点でエリア一体が停電するけれど、その場合でも「世帯で電灯1つか2つが精一杯」みたいなことはユーザー側ではわからない。スマート電力メーター的なもので、動的に世帯毎のアンペア上限を決める(例えば1Aを超えたらブレーカを落とす)ことはできるかもしれないけれど、ネットどころかテレビもない植民地のレベルだと難しそう。

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読書   2021/09/03   gena
タグ:Kindle , SF , 小川一水