SF本再読 天冥の標II
「天冥の標II 救世群」(小川一水)を再読了。Kindle合本版。
文庫の初版は2010年だけど、COVID-19のパンデミックで再注目されたようで、普段SFを読まない人たちにも読まれたのでは、という印象。
初読は2010年5月で、以来一度も読み返していなかったのでかなり忘れていた。確かにCOVID-19以降だとだいぶ受け取る側の意識が変わっているかも。過去にエボラ出血熱とかの本は読んで怖いなぁ、とは思ったけれど所詮は対岸の火事だった。それが新型コロナのパンデミックが起きて、「冥王斑について、この点は新型コロナと似てる、ここは違う、もし新型コロナがこんな風に変異したらヤバいな」とか、より具体的に想像しながら読んでいることに気づいた。
あとはやっぱりヘヴィで救いがなく、読んでいて辛くなる。この先まだまだ厳しいことが起こるんだよなぁ。
翌朝九時、東京発博多行き新幹線のぞみ号の禁煙指定席で、アイスコーヒーの缶を片手にぐったりしている青年の姿があった。
小川 一水. 《天冥の標》合本版 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.11187-11188). Kindle 版.
わざわざ「禁煙」指定席と書かなくてはいけない時代のお話だったわけだ。「医師」が「屋内の」喫煙所でスパスパタバコを吸っていた時代もそれほど昔のことではないということ。この点だけはこの10年で本当に良くなったと思う。