Harmless Weblog

小川一水

SF本再読 天冥の標III

「天冥の標III アウレーリア一統」(小川一水)を再読了。Kindle版。

シリーズ通して考えると違和感ないけれど、IからII、IIからIIIの時代、舞台の変化が大きすぎてすごい。

ロボットのカヨが良い。IとIIIだけでもグっとくるものがある。

「ヤー。タイプ・スターレスディープナイトIX、メイド・バイ・MHD、エスレル探測員のカヨです。パフォーマンス回復。ご迷惑をおかけしました」
小川 一水. 《天冥の標》合本版 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.19573-19574). Kindle 版.

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読書   2021/10/09   gena
タグ:Kindle , SF , 小川一水

SF本読了 アステリズムに花束を

「アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー」を読了。Kindle版。

全体的に面白かったけれど、やっぱり好みとしては小川一水氏が頭一つ抜けていて、新しく読んだ作家さんのなかでは、他の作品も読んでみたい、とまで思うものはなかったかな。

キミノスケープはインフラや物資がそのままで、自分以外が世界から消えてしまうという、誰もが想像したことがあるであろう中2的設定が良かった。四十九日恋文も設定が秀逸。草野原々氏はなぁ。グロいのが苦手なのでちょっと。幽世の設定とかは面白いのでグロさ無しで読みたい感じ。月と怪物はソ連SFという未知のジャンルで興味深かった。色のない緑、これは小川一水氏を別にすると一番良かったかな。

【収録作品】

  • キミノスケープ(宮澤伊織)
  • 四十九日恋文(森田季節)
  • ピロウトーク(今井哲也)
  • 幽世知能(草野原々)
  • 彼岸花(伴名練)
  • 月と怪物(南木義隆)
  • 海の双翼(櫻木みわ×麦原遼)
  • 色のない緑(陸秋槎/稲村文吾訳)
  • ツインスター・サイクロン・ランナウェイ(小川一水)

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読書   2021/10/02   gena
タグ:Kindle , SF , 小川一水

SF本再読 天冥の標II

「天冥の標II 救世群」(小川一水)を再読了。Kindle合本版。

文庫の初版は2010年だけど、COVID-19のパンデミックで再注目されたようで、普段SFを読まない人たちにも読まれたのでは、という印象。

初読は2010年5月で、以来一度も読み返していなかったのでかなり忘れていた。確かにCOVID-19以降だとだいぶ受け取る側の意識が変わっているかも。過去にエボラ出血熱とかの本は読んで怖いなぁ、とは思ったけれど所詮は対岸の火事だった。それが新型コロナのパンデミックが起きて、「冥王斑について、この点は新型コロナと似てる、ここは違う、もし新型コロナがこんな風に変異したらヤバいな」とか、より具体的に想像しながら読んでいることに気づいた。

あとはやっぱりヘヴィで救いがなく、読んでいて辛くなる。この先まだまだ厳しいことが起こるんだよなぁ。

翌朝九時、東京発博多行き新幹線のぞみ号の禁煙指定席で、アイスコーヒーの缶を片手にぐったりしている青年の姿があった。
小川 一水. 《天冥の標》合本版 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.11187-11188). Kindle 版.

わざわざ「禁煙」指定席と書かなくてはいけない時代のお話だったわけだ。「医師」が「屋内の」喫煙所でスパスパタバコを吸っていた時代もそれほど昔のことではないということ。この点だけはこの10年で本当に良くなったと思う。

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読書   2021/09/23   gena
タグ:Kindle , SF , 小川一水

SF本再読 天冥の標I

「天冥の標<1> メニー・メニー・シープ(上下)」(小川一水)を再読了。Kindle合本版。

天冥は文庫本でVIまで買って、その後Kindle版でIXまで買っていた。完結のXをどうしようか、また最初の方の話を忘れているので再読もしたいし…と思っていたら、ちょうどKindle本の半額セールで合本版が安くなっていたので購入。今までに買った単品のKindle版が無駄になってしまうけれど、文庫本を1巻ずつKindleで買い直すよりはお得だったので。

いよいよ全巻通して完結まで一気に読めると思うと感慨深い。1巻の初読は2010年2015年に8巻と同時くらいに一度再読している。

天冥シリーズは真面目なハードSFなんだけど、一方でエロも大きなテーマのひとつなので、そこがオールタイムベストになるかどうかの分かれ目かも。

あと改めて1巻を読み返してみて、やっぱり植民地の電力事情は気になった。特に「配電制限」というオペレーション。検索してみるとわかるけれど、こういう形の電力の供給制限というのは実際はできない。現在の技術でできるのは時間やエリアで「停電」させる輪番停電とか計画停電というオペレーション。

――それもこれも、配電制限のせいだった。いまやどの家庭も、夜間に電灯を一つか二つ灯すのが精一杯で、暖房器具など使うべくもなかったのだ。
小川 一水. 《天冥の標》合本版 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.6902-6903). Kindle 版.

単純に供給力上限を絞った場合は、負荷が一定以上になった時点でエリア一体が停電するけれど、その場合でも「世帯で電灯1つか2つが精一杯」みたいなことはユーザー側ではわからない。スマート電力メーター的なもので、動的に世帯毎のアンペア上限を決める(例えば1Aを超えたらブレーカを落とす)ことはできるかもしれないけれど、ネットどころかテレビもない植民地のレベルだと難しそう。

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読書   2021/09/03   gena
タグ:Kindle , SF , 小川一水