前編からの続き。
入校から卒検までの実際 --2段階から卒検まで--
6日目 |
【2段階-2 晴】9時からの教習ですでに32℃。最初の自主練の一発目で8の字とクランクのパイロンに突っ込んでしまった。転倒はしなかったけど、精神的ダメージがけっこうある。乗りはじめにコツを思い出すまで時間がかかり、いきなりコースを走るのが厳しい。一本橋も落下。検定では集合してそのまま本番ということらしいので、最初から実力を出せるようにしておかないと…。 |
【2段階-3 晴】朝から2時限連続で教習。カーブの体験走行。指導員の後ろに乗って、40キロくらいでバイクを傾けて曲がる体験。体感的にけっこう深く傾けて曲がるのでちょっと怖かった。基本はスローインファーストアウトというのを習って終わり。自分で運転して傾けるのは危険なので、後でシミュレータでやるそうな。 時間が余ったので、急制動を少し練習。最初は後ろに乗って説明を受けながら体感。最初は30キロから実際にやってみる。速度を維持しつつブレーキポイントに入るのが意外と難しいけれど、この速度なら11mのラインで止まるのは割と簡単かも。手前で止まりすぎて注意されるくらい。 速度を35キロに上げて何本か練習して終わり。クラッチを切るのが早すぎるのと、停止位置を意識してブレーキを調整するようにと指摘された。最後はクラッチを握らずエンストさせてみて、との指示。ギリギリまでエンブレを使ってほしいということだけど、普段いかに無意識にクラッチを切っているかということ。 朝一とはいえ32度の猛暑の中2時間連続教習で汗だく。備え付けのウォーターサーバーと塩タブレットで水分塩分補給してなんとか乗り切れた。検定までに実車に乗れるのはあと3回かな。まだまだ不安。 |
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【2段階-4】シミュレータ教習3回目。カーブ中にマンホールがある時の体験(滑る)と、ブラインドコーナーの先に駐車車両がある時(クラッシュする)。私はどうもシミュレータのバイクを倒すのが苦手で、何度やってもバンクセンサーをこするところまで倒せない。あとは路面状態についてのDVDを見て終わり。 | |
7日目 | 【2段階-5 晴】梅雨明けして薄曇りで気温は29℃ほど。自主練は軽めに無理せず。外周と8の字だけ。ブレーキの感覚にけっこう個体差がある気がする。 教習は急制動を繰り返し練習。速度を45キロまで上げたり、リアブレーキのみ、フロントブレーキのみ、などを試して、タイヤのロックや制動距離の違いを体験。リアブレーキだけだとドライ路面でも簡単にロックするので驚いた。その後、普通に両輪ブレーキでもちょっとリアがロック。フロントだけだと姿勢が崩れる恐怖感があり、無意識にリアを強めにしているのかも。停止線までに停まれない、ということは一回もなかった。 後半は検定とは関係ないけれど、低速のバランス練習。距離の近いパイロンをできるだけゆっくりスラロームする。指導員はほとんど停止しながら通過していてさすが。 ハンドルをフルロックまで切って曲がるのはなかなか難しい。立ちゴケ1回。 |
【2段階-6 晴】2時間目は自主練でスラロームと一本橋を何回かやって、これは失敗なし。むしろクランクが心配になってきた。 教習は回避を練習。これも検定にはない項目。3速30キロから、指導員が挙げる旗の色に合わせて左右に回避して停止する。 実際には白線が引いてあるだけで怖くはないけれど、赤だから左だな、と考えてから回避操作をするのでどうしてもワンテンポ遅れる。それを体験するというのが目的。4本練習。 後半は1段階のみきわめコースの最後に急制動を加えたコースを2周練習。クランクがパイロンギリギリだった。普通よく当たるのは内側のパイロンだと思うんだけど、私は曲がりきれずに外側に当たることが多い。クランクは1速で走っていたけれど、もしかしたら2速が走りやすいかもですね、と助言いただいた。んー、でも次回はもう2段階のみきわめなんだよなぁ。このタイミングで走り方を変えるのもリスクがあるし、どうしよう。次回の自主練の時間が取れればそこで試すか…。 実車教習としてはこれが最後かな。次回は2段階のみきわめと、いよいよ卒業検定。 |
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【2段階-7】最後のシミュレータ教習。【2段階-1】の法規運転と同じシミュレータで、危険予測。縦列駐車の車が後ろを確認せずに発進するとか、交差点右折で対向車のトラックの影からバイクが直進してくるとか。 | |
【2段階-8】普通車免許所持者だと唯一の学科教習。危険予測と二人乗りの注意点のビデオを見るだけ。 | |
8日目 | 【2段階みきわめ 晴】またも最高気温36℃の猛暑日。朝の1時間だけなので助かった。開始前の自主練はコースを2周。前回のアドバイス通り、クランクは2速で試して成功。しかし2周目の一本橋で途中落下。発進から橋に乗るところまでは良かったけれど、ニーグリップが甘かったかなぁ。 みきわめは教習生2人。検定を意識して、先頭、後追いのコース走行を順番を変えて一本ずつ。私が先頭の1回目は問題なし。しかし後追いの2回目はクランクで最初のコーナーを曲がった後、外側のパイロンに接触。これは一発失格ですよ、と注意された。2速だったけれど進入が速すぎたかも。もう一人の方は急制動がラインオーバーでやり直し。なかなか全てを合格点でクリアするのは難しい。 あと注意されたのは、一時停止からの左折小回りができずに大回りになるのと、フロントブレーキを二本指で握っていたこと。それでもなんとか2人ともみきわめは合格。結局最後の最後まで不安点を残したまま検定に臨むこととなった。 |
9日目 | 【卒業検定 晴】とうとう迎えた卒業検定当日。前日からの緊張で夜中に目が覚めてほとんど眠れなかった。 検定の説明は2輪も4輪も含めて全ジャンル同時で、2輪は大型MT6人、普通MT5人、小型MT1人。私は普通MTのラスト5番目。検定は大型から始まるので、最後から2番目ということ。 この待っている時間が長くて、普通車の卒検も一緒だからコースが混雑していることもあって、大型の人は一人15分近くかかる感じ。10時から検定が始まって、順番が回ってきたのは12時。気温は35℃。ちょうど時限の切り替わりでコース上に他の車もバイクもいなかったのは気が散らなくてラッキーだったかも。 大型二輪の6人、普通二輪の4人とも誰も一発アウトの失敗はなく、みんな合格っぽかったので、プレッシャーがすごい。今日の卒検ただ一人の不合格者にはなりたくないな、と思いつつ、でももしかしたら無理かも。。という複雑な緊張感の中で検定開始。 コースは普段練習しているものから一部簡略化されていて、八の字と外周一周回るのが省略。時間短縮のためなのか、いつもこのコースなのかはわからない。 一応、その日の乗り始めの一発目で失敗することが多いので、ならし運転をさせてもらうようにお願いした。これは発進後に一度採点を止めて、コースの一部を一回りさせてもらえるというもの。ならし運転をやっていたのは私ともう一人くらいだった。ほんの短い距離(50mくらい)だけど、ここで低速の感覚を思い出しておく作戦。2速半クラッチ+後輪ブレーキで低速走行するのをちょっとだけ試してから検定コースに復帰。 8の字が省略になったのは助かる(何度かクラッシュした場所なので)けれど、その代わり最初の課題が苦手筆頭のクランク。昨日も一度失敗しているし、今日落ちるとしたらここが一番可能性が高いと思っていた。 2速半クラッチ+後輪ブレーキ引きずりを意識しながらできるだけ低速で進入。視線を次のコーナーに意識的に向けて、苦手な第一コーナーをクリア。またアウトに膨らんで第二コーナーもクリア。そして一時停止。まずこれがクリアできたのがものすごくホッとした。 一時停止するたびに深呼吸して次の課題の注意点を思い浮かべつつ意識的にゆっくり進めた。時間はいくらかかっても点数に影響なし。 苦手な左折小回りもできるだけ半クラで粘って、障害物回避からS字をクリアして、ここでも一時停止して深呼吸。 信号交差点から踏切。安全確認はしつこいくらいにやる。 そして第二・第三の難関である、スラロームからの一本橋。スラロームは2速で断続クラッチを使えばほぼ失敗はなくなったので、今回も目線だけ意識的に先のパイロンを見るようにしてクリア。たぶんゆっくりだったと思うけど、タイムは気にしない。 スラロームを抜けて一本橋の入口で停止するときは、できるだけ一本橋に対してバイクをまっすぐ止めることを意識。 そして時間をかけて深呼吸。ギアが一速に戻っていることをしつこいくらい確認。そしてアクセルをふかし気味にして鬼の半クラッチでスタート。まっすぐ乗ってしまえば、あとはリアブレーキを弱くかけつつ、小刻みにハンドルを動かして、今回は危なげなくクリア。タイムはわからない(終わってからも教えてもらわなかった)けれど、たぶん7秒よりは速かったんじゃないかな。 ここさえクリアすれば、あとは消化試合的な課題だけど、油断しないようにまた深呼吸。 ブラインドコーナーの一時停止のあと、練習コースでは外周一周なんだけど、それは省略して坂道発進。これも問題なし。 最後に急制動。加速は得意なので前半できっちり40キロ出しておいて、微調整しながらブレーキポイントへ。あとは11mのラインよりだいぶ手前で無事に停止。もしかしたら後輪はちょっとロックしたかも。 そしてゆっくり発着点に戻って、最後立ちゴケしないように注意しながら降りて終了。 検定員からは、特に指摘するようなことはありません、安全確認もしっかりしていたし。とのコメントで無事合格。 練習で必ずどこかミスするので無事完走できて良かったです、とお礼を言ったら、止まるたびに呼吸を整えていましたね、あれが良かったんじゃないですかね。とおっしゃって頂いた。 |
おわりに --教習全体を通じて--
検定前日までノーミスでコースを回れる確率が5割くらいと不安だったけれど、どうにかストレートで卒業できて、本当に良かった。入校から1ヶ月、9日間の教習は社会人としては最短かと思う。
口コミで選んだ自宅からは遠い教習所(高速で片道1時間)だったけれど、評判通り二輪教習の指導員は皆さん親切で優しく、バイク好きで話しやすい人ばかりでその点だけでもこの教習所にして良かった。別にそれで教習の採点が甘くなるわけではないんだけど、大人の趣味の習い事という意味で、高圧的な態度で嫌味や小言を言われながら我慢して通いたくなんてない、というのは大切なことだと思う。
入校日が同じで、私と同じようにマイスケジュールプランで週末教習の予定を組んでいた同年輩の教習生がいて、この方とは毎回教習が一緒になり、いろいろお話もできたし、励ましあって進めることができたのも良かった。卒検は別々だったけれど、二人とも無事に一発合格。
Youtubeで教習のコツみたいな動画をたくさん視聴。現役指導員や元指導員、検定に落ちた人が経験から得たコツなどを紹介してくれている方が多く助かった。イメージとしては大変参考になったけれど、結局そのイメージ通りに身体を制御することが難しい、ということだと思う。センスの良い人や若者は悪いところをフィードバックして修正するのが早く、すぐ上達するのに対し、私などは何度も失敗してようやくなんとなく身体が動くようになってくる感じ。教習の後半では確かに、最初に苦戦した発進時のフラつきや、停止時に立ちゴケするような不安感はなくなっていた。その意味では技能教習17時間というのは絶妙な設定なのかも。
卒業検定はじわじわ減点されて不合格、ということはまずなくて、一発アウトのパイロン接触、一本橋落下、転倒で落ちる場合がほとんどかと思う。なので「これを失敗したら落ちる」という極度の緊張状態の中ですごく集中するという、普段なかなか経験しない精神状態だった。もしも落ちたら夏休みに入った時期で補習1時間と再検定がいつになるのかもわからなかったし。
最後に自分なりに二輪教習のコツというかポイントを書くとすると、発進をスムーズにフラつきなく出来るようにする、ということかと思う。発進をスムーズにするためには半クラッチとアクセルのバランス、姿勢など、重要なポイントが含まれているし、それは一本橋とクランクという最難関課題をクリアするためにも必須のスキルになる。自分なりにこのポイントに気付いたのは二段階に入ったあたりなので、一段階のときからこれを意識して、普段の発進をすべて丁寧に練習するようにしていれば、もう少し楽に進められたかもしれない。教習後は四輪の運転でもクラッチ操作が丁寧になった。
普通二輪免許をゲットした後のプランだけど、少なくともすぐにバイクを買うようなことはなさそう。バイクは盗まれやすいと聞くので、置き場所の算段から始めないといけない。
転倒したりパイロンに突っ込んだりアザだらけになりながらもなんとか二輪免許をゲットいたしました。 pic.twitter.com/wZXg1mOt6t
— ソウヘイ JH1CFV (@hsohei) August 2, 2023