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SF本再読 天冥の標IV

「天冥の標IV 機械じかけの子息たち」(小川一水)を再読了。Kindle合本版。

初読は2011年で、11年ぶりに再読。シリーズ中でもこの巻の感想は難しい。まず冷静に読めないし、PTA(!)が投入する「倫理兵器」のデタラメな強さとか、後半からラストにかけての幸せと寂しさが押し寄せてくる感じとか。

SFでしか描けないテーマであり、感動だけど、マンガやアニメにしたら確実にR指定だよなぁ。と、思って気になったけれど、小説だとどんなエロ描写でもOKなのか。

「非常用電源の交流ってあまり質がよくないから、がさがさした、生のほうれん草っぽい味がしない?」
小川 一水. 《天冥の標》合本版 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.25658-25659). Kindle 版.

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読書   2021/10/22   gena
タグ:Kindle , SF , 小川一水

SF本再読 永遠の森

「永遠の森 博物館惑星」(菅浩江)を再読了。Kindle版。

続編2冊が文庫(の電書)化されているので、復習の意味で読み返してみた。

初読は2017年で、この時も素晴らしいと思ったけれど、今回読み直してもやっぱり素晴らしかった。

人が死んだり宇宙が滅びたりするSFよりも、今の自分に浸透圧が合っているのかも。

でもやっぱり奥様はもう少し大切にしてあげた方が良いんじゃないかなぁ。

続編を読むのが楽しみ。

四人の前に据えられたCRTモニターに顔が映し出された。
菅 浩江. 永遠の森 博物館惑星 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1039-1040). Kindle 版.

2000年頃ってCRTはもう一般的じゃなかったような気がする。

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読書   2021/10/16   gena
タグ:Kindle , SF , 菅浩江

SF本再読 天冥の標III

「天冥の標III アウレーリア一統」(小川一水)を再読了。Kindle版。

シリーズ通して考えると違和感ないけれど、IからII、IIからIIIの時代、舞台の変化が大きすぎてすごい。

ロボットのカヨが良い。IとIIIだけでもグっとくるものがある。

「ヤー。タイプ・スターレスディープナイトIX、メイド・バイ・MHD、エスレル探測員のカヨです。パフォーマンス回復。ご迷惑をおかけしました」
小川 一水. 《天冥の標》合本版 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.19573-19574). Kindle 版.

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読書   2021/10/09   gena
タグ:Kindle , SF , 小川一水

SF本読了 アステリズムに花束を

「アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー」を読了。Kindle版。

全体的に面白かったけれど、やっぱり好みとしては小川一水氏が頭一つ抜けていて、新しく読んだ作家さんのなかでは、他の作品も読んでみたい、とまで思うものはなかったかな。

キミノスケープはインフラや物資がそのままで、自分以外が世界から消えてしまうという、誰もが想像したことがあるであろう中2的設定が良かった。四十九日恋文も設定が秀逸。草野原々氏はなぁ。グロいのが苦手なのでちょっと。幽世の設定とかは面白いのでグロさ無しで読みたい感じ。月と怪物はソ連SFという未知のジャンルで興味深かった。色のない緑、これは小川一水氏を別にすると一番良かったかな。

【収録作品】

  • キミノスケープ(宮澤伊織)
  • 四十九日恋文(森田季節)
  • ピロウトーク(今井哲也)
  • 幽世知能(草野原々)
  • 彼岸花(伴名練)
  • 月と怪物(南木義隆)
  • 海の双翼(櫻木みわ×麦原遼)
  • 色のない緑(陸秋槎/稲村文吾訳)
  • ツインスター・サイクロン・ランナウェイ(小川一水)

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読書   2021/10/02   gena
タグ:Kindle , SF , 小川一水

SF本再読 天冥の標II

「天冥の標II 救世群」(小川一水)を再読了。Kindle合本版。

文庫の初版は2010年だけど、COVID-19のパンデミックで再注目されたようで、普段SFを読まない人たちにも読まれたのでは、という印象。

初読は2010年5月で、以来一度も読み返していなかったのでかなり忘れていた。確かにCOVID-19以降だとだいぶ受け取る側の意識が変わっているかも。過去にエボラ出血熱とかの本は読んで怖いなぁ、とは思ったけれど所詮は対岸の火事だった。それが新型コロナのパンデミックが起きて、「冥王斑について、この点は新型コロナと似てる、ここは違う、もし新型コロナがこんな風に変異したらヤバいな」とか、より具体的に想像しながら読んでいることに気づいた。

あとはやっぱりヘヴィで救いがなく、読んでいて辛くなる。この先まだまだ厳しいことが起こるんだよなぁ。

翌朝九時、東京発博多行き新幹線のぞみ号の禁煙指定席で、アイスコーヒーの缶を片手にぐったりしている青年の姿があった。
小川 一水. 《天冥の標》合本版 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.11187-11188). Kindle 版.

わざわざ「禁煙」指定席と書かなくてはいけない時代のお話だったわけだ。「医師」が「屋内の」喫煙所でスパスパタバコを吸っていた時代もそれほど昔のことではないということ。この点だけはこの10年で本当に良くなったと思う。

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読書   2021/09/23   gena
タグ:Kindle , SF , 小川一水

SF本読了 アメリカン・ブッダ

「アメリカン・ブッダ」(柴田勝家)を読了。Kindle版。

この方の本は初読。元々好物の仏教SFの表題作と、民俗学と絡めた他の作品も大変面白かった。硬軟のバランスがちょうど良い感じで、軽すぎず重すぎずちょうど良い気持ちよさ。

【収録作品】

  • 雲南省スー族におけるVR技術の使用例
  • 鏡石異譚
  • 邪義の壁
  • 一八九七年:龍動幕の内
  • 検疫官
  • アメリカン・ブッダ

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読書   2021/09/10   gena
タグ:Kindle , SF , 柴田勝家

SF本再読 天冥の標I

「天冥の標<1> メニー・メニー・シープ(上下)」(小川一水)を再読了。Kindle合本版。

天冥は文庫本でVIまで買って、その後Kindle版でIXまで買っていた。完結のXをどうしようか、また最初の方の話を忘れているので再読もしたいし…と思っていたら、ちょうどKindle本の半額セールで合本版が安くなっていたので購入。今までに買った単品のKindle版が無駄になってしまうけれど、文庫本を1巻ずつKindleで買い直すよりはお得だったので。

いよいよ全巻通して完結まで一気に読めると思うと感慨深い。1巻の初読は2010年2015年に8巻と同時くらいに一度再読している。

天冥シリーズは真面目なハードSFなんだけど、一方でエロも大きなテーマのひとつなので、そこがオールタイムベストになるかどうかの分かれ目かも。

あと改めて1巻を読み返してみて、やっぱり植民地の電力事情は気になった。特に「配電制限」というオペレーション。検索してみるとわかるけれど、こういう形の電力の供給制限というのは実際はできない。現在の技術でできるのは時間やエリアで「停電」させる輪番停電とか計画停電というオペレーション。

――それもこれも、配電制限のせいだった。いまやどの家庭も、夜間に電灯を一つか二つ灯すのが精一杯で、暖房器具など使うべくもなかったのだ。
小川 一水. 《天冥の標》合本版 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.6902-6903). Kindle 版.

単純に供給力上限を絞った場合は、負荷が一定以上になった時点でエリア一体が停電するけれど、その場合でも「世帯で電灯1つか2つが精一杯」みたいなことはユーザー側ではわからない。スマート電力メーター的なもので、動的に世帯毎のアンペア上限を決める(例えば1Aを超えたらブレーカを落とす)ことはできるかもしれないけれど、ネットどころかテレビもない植民地のレベルだと難しそう。

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読書   2021/09/03   gena
タグ:Kindle , SF , 小川一水

ミステリ読了 カリオストロ伯爵夫人

「カリオストロ伯爵夫人」(M.ルブラン)を読了。Kindle版。

久しぶりにルパン。誰でもそうだと思うけれど、ルパン三世のアニメが超有名なので、原作ではないにしろその元ネタということで特別な感じはある。

実際読んでみたら、カリオストロという名前だけでなく、本格的に活動する前の若き日のエピソード、クラリスというヒロイン、カリオストロの財宝、と舞台設定の共通点があって楽しめた。

続編のカリオストロの復讐というのがあるみたいだけれど、2021年現在Kindle版は出ていない。残念。

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読書   2021/08/21   gena

SF本読了 星系出雲の兵站ー遠征ー5

「星系出雲の兵站ー遠征ー5」(林譲治)を読了。Kindle版。

星系出雲シリーズもいよいよ完結。最後まで面白く読めた...けど、最後はやっぱり猫に持っていかれた感がある。林譲治さんはツィッターでもにゃんこの写真をいつもアップしてくださっているのでその点は非常に親近感がわく。

シリーズを通して。そもそも「兵站」という地味なところに焦点を当てているので、ファーストコンタクトに宇宙戦争という派手なテーマの割に、全体的に地味だったかな。長い説明ゼリフが多いのも気になる。そのドローンの名前だとか細部の描写だとかはストーリーに何か影響があるの?と思いながら最後まで読んでもぜんぜん意味がなかったり。ある意味斬新だとは思った。

あとは98%くらいにわたりさんざん謎が提示される割に、最後2%で結局「全てを知る犯人」が現れて「解答を説明」してくれるっていう終わり方もどうなんだろう。説明されなかった点は完全に放置だし、これでもかとディティールに凝ったタオ、水神、火伏(とその奥様)たちはその後どうなったの?とかの回収もなし。どうせなら最終巻はこの辺の後日談でも良かったのでは、と安易に思うのは素人だから?

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読書   2021/08/08   gena
タグ:Kindle , SF , 林譲治

SF本読了 星系出雲の兵站ー遠征ー4

「星系出雲の兵站ー遠征ー4」(林譲治)を読了。Kindle版。

いろいろとわからないことだらけの状況のまま、異星人とのコミュニケーションもままならず、クライマックスに向けてどう納めていくんだろう、という興味で読んでいる。

RFIDタグが出てきたり、妙に現代地球と似通った技術が登場するんだけど、何度も書くけどFTL航法とのギャップがすごい。

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読書   2021/08/06   gena
タグ:Kindle , SF , 林譲治